(8)「ゆるむ」という事の誤解
「ゆるむ」というと、どの様なイメージが浮かぶでしょうか?
辞書では
「緩む=緊張がほぐれる、油断する、固いものが柔らかくなる、締め付けが弱くなる」とあります。
身体の事に関して言えば、不要な筋緊張が解れて、動かしやすさを回復した適正な筋肉状態と言えます。そして、緩むの類語に「たるむ」があります。
「たるむ=張りつめた気持ちがゆるむ、緊張感が途切れる事、油断、慢心、だらける」
「ゆるむ」と「たるむ」がごちゃ混ぜ状態の方を多く見受けます。また、身体は柔らかければ全て良いかのような誤解が蔓延しています。筋肉の凝りが少なく、柔らかいのは良い事ですが、必要な時にしっかりと固くなる、引き締まるようでないと、使い物になりません。
凝りが少ない方が、血流も阻害されにくく、血行が良くなりそうですが、筋肉は使って伸縮する事で、ポンプ機能が働き血流を促しています。柔らかいだけで縮む力が弱いと、このポンプ機能も活かしきれません。ストレッチは行った時に血行が促されるので、効いてる感じがしやすいのですが、終わった後にスッキリ感よりも違和感が大きい場合や、継続しているのに調子が良くならない場合は、見直す必要があります。
健康な肉体を維持するには、適正な筋肉状態である事が大切です。緊張と弛緩の繰り返しが筋肉運動です。緊張ばかりで弛緩出来ない、弛緩ばかりで緊張出来ないでは快適な動きになりません。不要な筋緊張を解放する事は大切ですが、必要以上に緩み過ぎることはマイナスとなります。筋肉は骨格を支える役割があります。適度な張り弾力がある事で骨格を支え、直立二足歩行での活動を可能にしています。
必要以上にゆるみすぎると、この支えが弱くなり、自分で自分を支える事を困難な「立てない身体」に向かってしまいます。同時に支えの弱い部分をカバーする他の部分の負担が増えるため、局所的な筋緊張も強くなり、全身のアンバランスを引き起こすと「動きにくい、不快な身体」も進行します。
この様な場合、緩ませる事だけでなく、緩み過ぎている部位は引き締め強化して、支えとしての役割を果たせる様にしてあげる事が必要です。
中心軸整体で用いる「緩める」という単語は、
・拘束で固まった組織を回復する
・股間節・肩甲関節体を分離解放する
・全身の関節を揺れる状態にする
以上の事を目的に用いています。
関節や、拘束部位の理解なく、そこらじゅうをただ揺らし続けても、グニャグニャした身体になっていくだけです。動きも変わりません。これでは類語のたるむに向かっている様なものです。